映画「ペンギン夫婦の作りかた」

ストーリー(ネタバレ)

「食べるラー油」がブームになってから久しいですね。私も例にもれず、桃ラーを買ったり、おかずラー油を買ったり、自分で作ってみたりとブームに乗っかってラー油生活を楽しみました。中でも感動したのは「石垣島ラー油」です。あの圧倒的なおいしさにはビックリさせられました。定番の水餃子はもちろんのこと、お豆腐にかけてもチーズにかけても麺類にかけても美味しい石垣島ラー油。一時期売り切れ続出で手に入りにくい状態が続いたくらい、大人気のラー油です。そのラー油が出来るまでの物語が映画になりました!それが「ペンギン夫婦の作りかた」です。石垣島ラー油を作り上げた辺銀という珍しい苗字のご夫婦が、どのようにして石垣島ラー油を作ったのか、どうしてこんな苗字なのか、その苦労と努力と美味しいご飯が見られる素敵な物語です。

東京から石垣島へ

東京でフリーライターとして働く歩美は、5年前に遠距離恋愛の末に中国人のギョウコウと国際結婚しました。ギョウコウも同じく東京の出版社でカメラマンとして働いていたのですが、ある日その出版社が倒産してしまいます。職を失ったギョウコウに対し、歩美は怒るどころか“ラッキー”とばかりに喜びます。この機会に、ずっと前から気になっていた石垣島へ旅行に行こうと歩美は提案します。そんなわけで、石垣島に降り立った二人。そこにはどこまでも続く青い空と青い海、そして美味しいご飯が待っていました。石垣島の魅力にすっかり夢中になった二人は、そのまま石垣島に移住することを決めてしまうのでした。

新しい生活の転機

島の人たちのやさしさに支えられ、歩美は沖縄料理屋で、ギョウコウはウコン畑での仕事を見つけ、新しい生活を始めたのでした。そんなある日、歩美は偶然見つけたフリーマーケットのチラシに心惹かれます。ギョウコウと二人で何か店を出せないか・・・悩んだ末に思い付いたのは手作りラー油の販売でした。もともと料理好きな二人。特にギョウコウは、中国で教えてもらった作り方で、普段からラー油を手作りしていたのです。二人は石垣島の食材を使ったまったく新しいラー油を作ろうと思い立ち、島唐辛子やウコンを使ってのラー油作りを始めます。

ラー油作り

島の人達の好意で食材を分けてもらい、研究を重ねる二人。しかし、何かが足りない・・・。そこで思いついたのがピパーチでした。ピパーチは沖縄そばなどに欠かせない島胡椒です。二人はさっそくピパーチを作っているおじぃの元へと足を運びます。しかしおじぃは移住者の二人に対して冷たくあたります。ピパーチが無ければラー油は完成しない。二人は何度も何度もおじぃの元へ通い、その熱意を伝えました。段々と心を開いてくれるようになったおじぃ。そしてついに二人の熱意に負けたおじぃはピパーチを譲ってくれたのでした。こうして二人は最高のできのラー油を完成させたのでした。

挫折

苦労して完成させたラー油を手に、意気揚々とフリーマーケットへ向かう二人。絶対の自信を持って挑んだフリーマーケットでしたが、結果は惨敗。二人が作ったラー油はほとんど売れずに残ってしまいました。意気消沈する二人でしたが、せっかく作ったラー油だからと、余ったものをご近所さんや、お世話になった人たち、それから東京の友だちへと送ります。そして元ののんびりとした生活へと戻った二人。しかし、思わぬところからチャンスがやってきます。東京の友だちに送ったラー油が評判になり、大量の注文が入ったのです!思わぬ事態に二人は大喜びしました。

帰化

石垣島の生活にも慣れ、ラー油も順調に売れるようになってきた頃、ギョウコウは本当の意味で歩美と夫婦になりたいと思い、中国から日本へ国籍を移すために帰化申請をすることを決意します。帰化するには厳しい条件をクリアしなければならないのですが、日本人の配偶者がいるとその条件が少し緩むのでした。二人はさっそく申請へと向かいます。しかし、法務局の担当者は冷たい態度をとります。南の島に憧れてやってきた移住者は沢山いるけれど、その現実を見て半分以上がまた島から出て行ってしまう。あなたたちもきっとそうなる、と。そして、二人には偽装結婚の疑いがもたれていました。さらには二人がラー油作りをしているところを麻薬の製造をしているのではないかと勘違いした法務局が家宅捜索まで強硬してきます。そんな逆境にもめげず、二人は何とか帰化申請を通すことができました。

ペンギン夫婦の出来上がり

ギョウコウの帰化は決まったのですが、ギョウコウの中国での苗字は日本名には使えないことが分かります。そういう場合は好きな苗字を付けていいことを知った二人は、「辺銀(ぺんぎん)」という苗字にすることを決めました。日本に辺銀という苗字は歩美とギョウコウの二人だけです。法務局の担当者に、なぜぺんぎんという苗字なのかと聞かれた歩美。その理由は二人が大好きな動物だからというだけでなく、ペンギンは一度夫婦になったらどちらかが死ぬまでは決して相手を変えずに共に生きていくから、というものでした。こうして石垣島に最高の夫婦が誕生したのでした・・・。

キャスト

メインキャスト

  • 歩美・・・小池栄子
  • ギョウコウ・・・ワン・チュアンイー
  • 法務局の担当者・・・深水元基

その他のキャスト

  • 山城智二
  • 田仲洋子
  • 大田享
  • 與那嶺望
  • 松田幸恵
  • 崎浜秀彌
  • 藤木勇人
  • 北村三郎
  • 平良進
  • 吉田妙子

スタッフ

  • 監督・・・平林克理
  • 原案・・・辺銀愛理
  • 脚本・・・アサダアツシ、平林克理
  • 音楽・・・安川午朗
  • エグゼクティブプロデューサー・・・竹之内良和、大島満
  • 企画プロデュース・・・田部井悟、宇田川寧、茶ノ前香
  • プロデューサー・・・若林雄介
  • 共同プロデューサー・・・行実良
  • 撮影・・・小松高志
  • 照明・・・藤森玄一郎
  • 録音・・・山田幸治
  • 美術・・・露木恵美子
  • 衣装・・・布部雅人
  • ヘアメイク・・・酒井夢月
  • 編集・・・相良直一郎
  • ポストプロダクションプロデューサー・・・篠田学
  • 音響効果・・・松浦大樹
  • キャスティング・・・田端利江
  • 音楽コーディネート・・・渡辺一博、小嶋遼
  • 助監督・・・楠本直樹
  • 製作担当・・・中島勇樹
  • 劇中ごはん作り担当・・・辺銀暁峰、辺銀愛理

感想

この映画は、大人気となった「石垣島ラー油」を作っている辺銀ご夫妻が、どのようにしてラー油をつくるに至ったのかを描いた映画です。ご飯ものの映画って最近多い気がします。「かもめ食堂」に始まり、「UDON」や「南極料理人」なんかもそうですよね。この映画も多分に漏れず、出てくるご飯がどれもとっても美味しそう。特に水餃子は良いですね!思わず映画の帰りに餃子の材料を買って帰ったほどです。それもそのはず、劇中のごはん作りは辺銀夫妻が担当しているのです。辺銀夫妻は、現在は石垣島で食堂を営んでらっしゃるそうで、私もぜひその美味しい料理を味わってみたいと心から思いました。水餃子はもちろんですが、目玉焼きのっけごはんも凄くお腹が空きました(笑)。映画を見ながら、石垣島ラー油のあのコクのある辛さを思い出して、あーきっと卵にも抜群に合うんだろうなと想像してしまいました。また、主演の二人がとっても美味しそうに食べるんですよね!きっと本当に美味しかったんだと思います。小池栄子さんの食べっぷりを見ているだけでも価値のある映画なのではないでしょうか。美味しいだけじゃなく、きちんとストーリーも組み立てられていました。ラー油作りよりも、ギョウコウさんの帰化や夫婦の絆に重きを置いて作られていて、90分という短い中にもきちんとリズムがあり、楽しく鑑賞できました。主演の小池栄子さんが非常に役に嵌っていて、思いつきでどんどん突き進んでしまう、一見したら迷惑そうな女性を、全く嫌味のない素敵な女性として演じていて感心しました。ギョウコウ役の俳優・ワンさんも食べっぷりがよく、見ていて気持ちが良かったです。ギョウコウの歩美への愛情がにじみ出ていて、彼のやさしさをひしひしと感じました。単純にこういう夫婦っていいなーと羨ましく思いましたし、石垣島の美しい自然やゆったりと流れる時間にも憧れを覚えました。しかし、実際に移住できるかと聞かれれば、答えはNOでしょう。仕事もないだろうし、コネもツテもない状態で辺銀夫婦のように頑張れる人は中々いないと思います。歩美のポジティブ思考には拍手を送りたくなりますが、彼女の意見に驚きながらもそれを受け止めてくれるギョウコウの器の大きさにも感動しました。日本で唯一の苗字「辺銀」が出来た理由にもちょっとほろりとさせられたり。90分の中でなんども笑顔になれる、温かい映画でした。

「ペンギン夫婦の作りかた」と国際結婚